無垢の木をふんだんに使用した木造建築。
浴びてきた紫外線経験をリセットし、木部独特の染み込んだ汚れを取り除く。
そんな工程が「あく洗い」です。
一口に木の「あく洗い」と表現しますが、その内容は「あく洗い」「しみ抜き」「日焼け落とし」
「かび落とし」と、汚れの質に応じて薬品を替え、それぞれの汚れを取り除く工程を順々に行います。
この工程を総称して「あく洗い」といいます。
はじめに、最も頑固な汚れを取り除く作業です。
過酸化水素水を主成分とした薬品を、硬めの刷毛で擦りながら塗布し、しばらく放置します。
汚れが浮き出てきたところを確認し、水だけをつけた刷毛で洗い流します。
この工程が最も重要で、この時点で汚れを残してしまうと後々まで残ってしまうため、必要に応じ研磨剤等を
使用しながら1と2の工程を(2~3回)繰り返し行います。
また、この工程の最後に気をつけなければならないのは、木に薬品が残らないようにしっかりと水で洗い流す
ことです。
あくを取り除いた後、「あく洗い」の工程では落とせなかった長い期間によってできた紫外線の「シミ」と
「シミの素」を取り除くため、シミ抜き専用の薬品(フッ化水素が主成分)を、やはり同じように刷毛で
塗布していきます。
この工程は「あく洗い」の作業と異なり、洗い流すといった作業ではなく、「シミ」と「シミの素」を薬品に
よって化学反応を起こさせて消す作業のため、「あく洗い」の時より柔らかい刷毛を使用し、薬品を染み込ま
せるように塗っていきます。
「あく洗い」「シミ抜き」の工程後、この段階で、汚れは除去された事になりますが、紫外線による
「日焼け」が残っているため薬品を替えて漂白を行います。
またこの薬品は「シミ抜き」で使用した薬品を中和するはたらきがあるため、日焼けがない場合でも行う事が
大切です。
※当工程の作業時に使用する薬品と「シミ抜き」の薬品が中和する際にガスが発生するため、
マスクの着用が必要です。
最後に、木部に付着している余分な薬品を濡れた雑巾でしっかり拭取り、研磨剤を使用しながら余分な
黒ずみを取り除き「木部あく洗い」の完成となります。
「あく洗い」作業完了後、外部木部に関しては木肌が直接、外気に接している状態になってしまうため、
最後に、木の美しさを可能な限り長期間保てるように木材保護塗料を塗装(2回塗り)して完成となります。