建築物の水平面と垂直面では劣化スピードが3対1と大きく異なる。水平面だと雨水を溜めやすく紫外線を受けやすい一方、垂直面では雨水はすぐに流れてしまい、太陽も刺し込む角度が変化するので直射を受ける時間が短いからである。普通の窓と天窓を比べると、天窓は水平で日射時間が長いことから、同じ面積の縦型の窓と比較すると、有効面積を3倍にしてもよいと建築基準法にも記載されているため、同じ塗装をするときには、水平部は垂直部の3倍の塗り回数をすると安心である。
木造建築の場合に塗り替えの時期をいつにしたらよいか迷うところで、建物ごとに差ができるが、モルタルリシン下地なら7年、サイディング材なら10~12年が一応の目安である。しかし、8年を過ぎると細かなひび割れが拡大して下地処理代金が多くかかる。
ここで、誰でもできる塗膜の劣化チェック方法を伝授いたします。
用意してもらうのはカッターナイフとセロテープです。まず、塗膜の汚れを拭き取り、長さ3cmの×印の傷をカッターナイフで入れます。その上からセロテープを貼って10秒たったら剥がしてください。この時に塗膜がセロテープに付着するなら塗り替えをおすすめします。塗膜がびくともしないなら、まだ大丈夫とみていいと思います。
塗膜が劣化しているようなら、虫眼鏡を使って塗膜のひび割れを見て欲しいです。
塗膜は古くなって傷んでくると硬くなり粘りがなくなります、このあたりもチェックポイントであります。
関東地区の場合、コンクリートのひび割れの幅が0.3ミリ以下なら雨漏りは大丈夫です。
名刺の厚さがちょうどこの厚さなので、コンクリートのひび割れを見つけたら名刺を縦に差し込んでチェックをしてみてください、名刺がスポスポと入るようなら補修が必要となります
ひび割れの補修方法には、エポキシ系の注入材などでしっかりとした施工が必要です。
コンクリートが大きなひび割れを生じたときには、鉄筋が錆びていないかを確かめることが大切であります。塗膜を剥がして錆び汁がでているときには、表面のコンクリートの一部を取り去り、内部を観察してみます。この時に真っ赤に錆びた鉄筋がでてきたら、錆びた部分を金ブラシで磨き、防錆ペイントかエポキシ樹脂を塗ってから、補修用のモルタルを塗ると錆びは防止できます。建物は傷が小さいうちに治療するのが大切なのです。